2026/08/18
こんにちは。OKUTA不動産の森内です。
前回は、中古マンション選びで見たい5つのことをご紹介しました。今回はその2つめ、いちばん差がつく「管理」のお話です。
物件資料の下のほうに、こんな行があります。
管理費 12,000円 / 修繕積立金 8,000円
多くの方は、ここを「毎月これくらいかかるんだな」という金額として眺めて、次のページに進みます。でも実はこの2つの数字、その建物のこれからを教えてくれる欄なのです。
マンションは「お部屋」だけを買うのではない
まず、似ているようで役割がまったく違う2つのお金を整理しておきます。
- 管理費 — 日々の管理に使うお金。共用部の清掃、管理員さんの人件費、エレベーターの点検、廊下の電気代など。毎月使い切ります
- 修繕積立金 — 将来のためにためておくお金。外壁の塗り直し、屋上の防水、配管の入れ替えなど、十数年に一度の大きな工事に備えます
大事なのは後者です。マンションの建物は、住んでいる方たちでつくる組織が、毎月少しずつお金を集めて計画的に直していくことで保たれています。誰かが勝手に直してくれるわけではありません。
つまり
建物のこの先は、そこに住んでいる方たちがどれだけきちんと決めてきたかで変わるということ。お部屋の中がどれだけきれいでも、建物そのものの手入れが滞っていれば、住み心地も安心感も少しずつ削られていきます。
ここで一つ、気をつけていただきたいことがあります。
修繕積立金が相場より安い物件は、毎月の負担が軽く見えます。けれどそれは、
将来の工事費を先送りしているだけのこともあるのです。いざ工事という段になって、一時金をまとめて求められたり、積立額が大きく上がったりする。「毎月が安い」の裏側は、必ず確かめておきたいところです。
買う前に見せてもらえる、3つの書類
うれしいことに、この「住んでいる方たちの決め方」は、買う前に確かめられます。ご自身で読めるものばかりです。
どれも、担当の不動産会社から管理会社へ取り寄せてもらう形になります。「管理に関する書類を見せてください」とお伝えいただければ大丈夫です。気が引ける方もいらっしゃいますが、ごく普通のご依頼ですので、遠慮なくどうぞ。
1|修繕積立金の残高 — ちゃんとたまっているか
いま、いくらたまっているか。まずはここです。
築年数のわりに残高が少ない場合、過去に大きな工事をしたばかりなのか、それとも集める額が足りていないのか。理由まで聞いておくと安心です。
もう一つ、
今の金額がずっと続くとは限りません。最初は安く、数年ごとに段階的に上げていく方式をとっている建物も多くあります。「これから上がる予定はありますか」と一言たずねてみてください。
2|何年後に何を直すかの計画 — 見直されているか
長期修繕計画と呼ばれるものです。何年後に外壁、何年後に配管、といった予定表ですね。
見ていただきたいのは中身より、
いつ見直されたか。物価も工事費も変わっていきますから、何年も前に作ったきりの計画は、実際の費用に追いついていないことがあります。定期的に見直されている建物は、それだけ真面目に向き合っているということです。
3|話し合いの記録 — 何が議論されているか
総会議事録という書類です。年に一度の話し合いの記録で、これがいちばん人柄が出ます。
修繕の話がきちんと議題に上がっているか。積立金の値上げから逃げていないか。逆に、管理費の滞納やご近所トラブルばかりが議題になっていないか。数字には出ない空気が、ここに残っています。
これからは、管理が「外から見える」ようになります
もう一つ、知っておいていただきたい流れがあります。
マンションに関する法律が2026年4月に改正され、それに合わせて管理のルールのひな型も見直されました。総会の開き方や、物事を決めるときの条件などが変わっています。
さらに国土交通省は、マンションの管理状態を公的に認定するしくみについて、2027年4月から対象を広げる方針を示しています。
管理がきちんとしているかどうかを、第三者が確認できる形にしていこうという流れですね。
これが何を意味するか。これまで管理の良し悪しは、買う人が自分で調べるしかありませんでした。それがこれから、外から見える形になっていきます。
同じ駅、同じ築年数、同じ広さ。それでも管理の差がはっきり見えるようになれば、選ばれ方も変わってくるはずです。
書類は、一緒に読めば大丈夫です
とはいえ、正直なところ、初めて見る方には読みにくい書類です。専門用語も多く、どこが普通でどこが心配なのかの相場観も、すぐには身につきません。
そこは、遠慮なく頼ってください。OKUTA不動産では、ご希望の物件について
この3つの書類を一緒に読み解き、気になる点をお伝えしています。数字だけでなく、「この築年数ならこのくらいが一般的です」という目安つきでご説明します。
あわせて、建物の状態によっては耐震基準適合証明書などの取得をお手伝いできる場合もあります。住宅ローンや税制の面で効いてくることがあるので、気になる物件があればお声かけください。
そしてもう一つ。管理でできることと、お部屋の中でできることは別です。「共用部だから手を入れられないけれど、専有部でこう工夫すれば解決できる」という判断は、リノベーションの設計担当が同じ社内にいるからこそ、その場でお答えできます。
まとめ
マンションを買うということは、お部屋だけでなく、その建物の管理そのものを引き継ぐということです。
修繕積立金の残高、何年後に何を直すかの計画、話し合いの記録。この3つは買う前に見せてもらえますし、読み方さえわかれば、そのマンションのこれまでとこれからが見えてきます。毎月の金額が安いことが、そのまま安心とは限らない。ここを知っておくだけでも、物件の見え方は変わってくるはずです。
次回は3つめ、築年数のお話です。同じ「築35年」でも中身はまったく違います。価格が下がりきって落ち着く「築年数の帯」について、お伝えしますね。
このシリーズの記事一覧
- 中古マンション選びで見たい5つのこと。価格だけで決めない物件の「見極め方」 — 全体像
- 中古マンションの「管理」はどこを見る?修繕のお金と修繕計画の読み方(この記事)
- 中古マンションの築年数と価格の関係 — 価格が落ち着く「築年数の帯」とは(8月11日公開予定)
- 見学でわかる暖かさと設備 — 買ってから直せること、直せないこと(8月18日公開予定)
- 中古マンション選びのチェックリスト — 5つの見どころで実際のお部屋を見てみる(8月25日公開予定)
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