LOHAS studio
岡本 博行@OKUTA
2025/10/31
今年は冷え込むのが早いですね!
今年といえば、4月に建築基準法の改正があり、今まで建築確認申請を省略できていた工事が、
確認申請を出さなければなくなりました。
例えば、木造2階建ての住宅では
・外壁を下地から全てやり替える
・階段の架け替える
・2階の床を全て撤去してやり替える
といった工事でも、確認申請を出す必要があります。
では、いざ「確認申請を出しましょう!」となったとき、建物が法的にどのような立ち位置なのか?
によって、すべきことがピンキリになります。
大きく分けて、今現在の建物が、法適合建築・既存不適格・違反建築のどれなのか?というところです。
そして一番理解されにくいのが「既存不適格」というものです。
既存不適格だけは実務者以外には、分かりづらいかもしれません。
(デリケートな話というところもありますが)
そもそも「不適格」という言葉が、誤解を生んでしまうのだと思います。
なので、手書きで見づらく申し訳ありませんが、メモで違いを私なりにまとめてみました
A・B-1・B-2・C-1・C-2 に分けられます。

理解のために、身近なものに置き換えるとこんな感じです
(悪意はありませんので、あくまでイメージとして・・・)
既存不適格は「走行可」というところがミソです(違反ではないのがポイント)

そして、最も重要なのが、検査済証(けんさずみしょう)があるかないかです。
注) 検査済証は、確認済証 や 確認通知書 とは全く性質が違いますのでご注意下さい。
車に例えると、検査済証は車体番号のようなイメージです。
車体番号があれば、車検を通せば基本的に公道走行ができます(検査済証があるお家)
車体番号がないときは、特別な手続きを全てクリアしたうえで車検を通せれば、公道走行ができます
(検査済証のないお家)
確認済証は、新築着工前に自治体や確認審査機関で設計審査を行い、現行法に適合しているという証明です。
(建築基準法に適合していることを)確認済(みであることの)証(あかし)です。
検査済証は新築完成後に、各自治体や確認審査機関が現地検査を行い、適合しているという証明です。
(着工時の法律にしたがって、設計図通りかの)検査済(みであることの)証(あかし)です。
つまり、検査済証が当時の建築基準法に適合していることを証明できる唯一の証明書です。
確認済証、建物謄本、旧公庫の適合証、新築時の現場写真、設計図、領収書等々では、
既存建物が法適合であったことを証明することはできません。
(もし検査済証が手元になくても、役所の台帳に載っていれば「検査済証あり」とみなすことができます)
これによって、改修や増築で必要になる確認申請の難易度が変わってきます。
既存不適格でも検査済証があれば、かなり見通しが明るくなります。
これも表にしてみました。

「現実度」は、法適合にするための予算、規模縮小、期間などの諸問題の多さでもあります。
そして、この表は既存建物のおける法令上の立ち位置を知り、法適合させるための道しるべです。
(「確認申請出すの大変だからやめましょう」とか「現実的じゃないから止めた方が良いですよ」
ということを判断するものではありません)
ランク付けは目安であり、法適合と認められるルートはちゃんとあるということです。
今まで法令遵守でやってきた建築事業者であれば、時間はかかったとしても
ほとんどの建物は対応できるはずです。
予算などの問題で完璧には無理だとでも、建物を少しでも法適合にしていくことはお客様のメリットになり、
(将来、新たな所有者が受け継ぐわけですから)社会的に意味のあるアクションになります。
また、建物によっても判断は変わってきます。
現実度として一番低いのはC-2(違反建築・検査済証なし)ですが、C+ はゼロやマイナスではないです。
建物の状態によっては、B+ の現実度と判断できることもあります。
また、C-2 から、B-2 の状態にさせて頂いたお客様もいらっしゃいます(違反から既存不適格へ)
建築基準法は今までの社会問題を背景に、常に更新されてきました。
近所で火事が起きても大きく燃え広がらないのは、法律の改正を繰り返してきたからです。
確認申請が必要となったことを肯定的に捉え、リノベしたお家を永く使って頂けたらと思います。
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