80坪のゆったりした敷地には手入れの行き届いた庭があり、中心街に近い場所とは思えないほどのゆとりを感じさせる。
以前からYさんは、地盤が良くないことが気になっていた。もともと用水路に近い傾斜地の畑を、地境に土留めをして整地した土地だからである。回りの水はけがあまり良くないため、さらに土盛りもしている。
住み始めてもう50年以上にもなるわけだから、さほど心配することもなさそうだが、やや軟弱な地盤であることは確かだろう。
木耐協の耐震診断の告知チラシを見たYさんは、思い切って診断を受けることにした。あの阪神淡路大震災以前に建てられた家であり、建築後15年目という節目でもある。
以前から、Yさんにはシロアリ防除や屋根葺き替えなどさまざまな業者が耐震診断の利用を申し入れてきたというが、地震の専門家でもない業者に頼むつもりはなかった。耐震補強の専門事業者が作る組合なら、と木耐協に依頼することにしたのだ。
最大のポイントが壁の量とバランスの悪さであることは明確なので、壁量が少ない南面に耐力壁を設ければ問題は解決するのだが、座敷と広縁の中央に壁など作ったら、この家の持ち味が失われてしまう。そこで東南隅の戸袋、および東面の壁2か所を耐震ボードで補強することにした。(左写真)
またクラックが発生していたコンクリート基礎には樹脂注入による補強を行い、ホゾ抜け防止のためホールダウン金物を6か所に装着した。また付帯工事として、少し傷みが出ていた瓦屋根の棟のとりなおしと、湿り気味であった床下への調湿剤敷き詰めが行われている。これら一連の補強により、Y様邸の判定数値は安全ゾーンの1.315まで改善された。
まもなく80歳になるYさんは、奥様と娘さんとの3人暮らしだが、その娘さんのために安心して暮らせる住まいを残しておいてやりたい、娘さんが家のため苦労しなくてすむようにというのが、今回の補強工事の目的だったようだ。
最近、少し足が不自由になってきた奥様のためにも、動きやすいように室内を改装することも考えているようで、まだまだYさんにはやらねばならぬことが沢山残されている。 |