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愛娘への親心が耐震補強を決意

さいたま市は、昨年5月に浦和市、与野市、大宮市の3市が合併して生まれた新しい街である。人口は約103万人で、全国13番目の政令指定都市とするための準備が着々と進められている。もとの大宮駅と与野駅の間の国鉄操車場跡には広大な新都心が誕生、国土交通省や郵政省の一部が移転してきており、北関東や東北への玄関口として、さいたま市の存在がますます重要になりつつある。

Y様邸は、JR大宮駅西口から真西へ直線で500mほど、ゆっくり歩いても10分かからない場所にある。右上の写真の背後に写っているのがソニックシティのビルだから、本当に目と鼻の位置にあるといってよい。
Y様が現在の土地に初めて家を建てたのは新婚間もない昭和30年前後だった。もちろん大宮駅西口整備もされておらず、今も残る用水路の両側は水田や畑だった。夫人の記憶では、この家あたりにはサツマイモが植えられていたそうだ。

以前から軟弱地盤が気になっていたY様

80坪のゆったりした敷地には手入れの行き届いた庭があり、中心街に近い場所とは思えないほどのゆとりを感じさせる。
以前からYさんは、地盤が良くないことが気になっていた。もともと用水路に近い傾斜地の畑を、地境に土留めをして整地した土地だからである。回りの水はけがあまり良くないため、さらに土盛りもしている。
住み始めてもう50年以上にもなるわけだから、さほど心配することもなさそうだが、やや軟弱な地盤であることは確かだろう。
木耐協の耐震診断の告知チラシを見たYさんは、思い切って診断を受けることにした。あの阪神淡路大震災以前に建てられた家であり、建築後15年目という節目でもある。
以前から、Yさんにはシロアリ防除や屋根葺き替えなどさまざまな業者が耐震診断の利用を申し入れてきたというが、地震の専門家でもない業者に頼むつもりはなかった。耐震補強の専門事業者が作る組合なら、と木耐協に依頼することにしたのだ。

強い壁をつくれば問題は解決するが

最大のポイントが壁の量とバランスの悪さであることは明確なので、壁量が少ない南面に耐力壁を設ければ問題は解決するのだが、座敷と広縁の中央に壁など作ったら、この家の持ち味が失われてしまう。そこで東南隅の戸袋、および東面の壁2か所を耐震ボードで補強することにした。(左写真)

またクラックが発生していたコンクリート基礎には樹脂注入による補強を行い、ホゾ抜け防止のためホールダウン金物を6か所に装着した。また付帯工事として、少し傷みが出ていた瓦屋根の棟のとりなおしと、湿り気味であった床下への調湿剤敷き詰めが行われている。これら一連の補強により、Y様邸の判定数値は安全ゾーンの1.315まで改善された。

まもなく80歳になるYさんは、奥様と娘さんとの3人暮らしだが、その娘さんのために安心して暮らせる住まいを残しておいてやりたい、娘さんが家のため苦労しなくてすむようにというのが、今回の補強工事の目的だったようだ。
最近、少し足が不自由になってきた奥様のためにも、動きやすいように室内を改装することも考えているようで、まだまだYさんにはやらねばならぬことが沢山残されている。

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